KG FIGHTERS 第55回ライスボウル初優勝 2002年1月3日
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コーチのコラム(守備)
Fighters-Dの肖像堀口 直親
―光 〜折れない心を持った戦士たち〜―

4年生の思い入れ

 第2Qに入りすぐさま逆転、その後のKick Off Cover。LB野田がリターナーの背後か ら思い切りのいいタックルを見せました。そしてボールは手からこぼれ落ち、フィールド 上を転々としました。カバーしたのは3年生の田中。グググイッとモメンタムを引き寄せ るプレーとなりました。確かに、この野田という男、タックルだけは強かったんです。な かなかタックルするポイントまでいけなかったんですけど…この大一番で、魅せてくれま したね。
 2本目のTDをとった後の飲料オフェンスはBlastから来ました。この試合、どう見て もZoneではない、Power Playで勝負しにきている…第1QでFBのプレーを2回続けた 時にそう感じました。Zone対策として用意したものはこの時点ではもはや消えていました。 そのBlastに対しては力哉が「圧巻」と言うにふさわしいプレーをしています。差し込み 方、差し込む位置など。
 随所で「いやらしさ」を見せ付けていたのは星田でした。PowerやCounterなどPower Playに対してブロッカーをうまく交わしてランナーに絡みつく、まさに蛸の吸盤タック ルを連発していました。
 矢野のRunning Playに対する上がりの速さは申し分ありませんでした。Deepの責任で ありながらStop the TAMONの先陣を切っていた、そんな気がします。
 普段はすぐにふくらはぎがつって最後までもたないCB植田勘介。Man to Man勝負に 挑み続けていたんですが、今のところその兆候はないようです。
 ファンブル…パスを通されダウンを更新された後のプレーでしたか。FBのダイブにDE の位置からタックルに向かった力哉が、ボールをもぎ取りました。そして転がったボール をSFの田尻が押さえました…って、なんでSafetyがそこにいるのか…この上がりの速さ は矢野に刺激されたものなのでしょうか。とにかく、この力哉のプレーこそ、今年の FIGHTERS-Dの思い入れを象徴するプレーだったと思います。また特筆すべきは、その ダイブに対して強固な壁を作りブロッカーをぶつけた2年生DT今東と、Gの前々をうま く交わしてCutbackのレーンを消したMLB平郡の「隠れたファインプレー」も見逃せま せん。こういった下級生のGood Jobも、4年生の思い入れが生み出したものなのでしょ う。

「晋三くらいになってくれ」

 第1Q、TDを与えた後のシリーズだったか。サイドラインで次なる展開を予 測していた時、WR山本耕司にパスが通り、サイドラインへと駆け抜けていった。 それを追いかけてきたのが元愛弟子の山田晋三君だった。思わぬニアミス、しか し一声かけるわけにもいかず、ただじっと晋三の顔を見ていた。(ごっついLBに なりよったな)と思いつつも、その表情に焦りはなかったが、どこか疲れていそ うな気がした。
 そういえば、同じMLBをやっている平郡や田頭にこの晋三のプレーをよく見せ たものだ。何がよくて何が悪いか…で、晋三がまだFIGHTERSの一員だった頃の 話もした。平郡は2年で田頭はまだ1年。晋三が3年生の時のことやどんな主将 だったか、なんて話は、あるいはピンぼけしてしまうことだったかもしれない。 でも二人ともよく聞いてくれていたと思っている。
 晋三は今でも私のところに来ると、学生時代のことを話しては当時の顔になる。 今のような逞しさはまだ備えていなかった。でも4年生らしいプレーを随所に見 せていた。学生時代から素晴らしいLBだった。
 「平郡も田頭も晋三くらいになってくれへんかなぁ…」とは、ニアミスが起こ った瞬間に思った本音である。

 中村多聞選手へのScreen…う〜ん、パニックかなぁ、予定ではあいつがああなってあい つがこうなって…ゴール前の攻防では、正直な話、嫌な予感がしました。飲料の正重君は 私の性格を半分くらい知っています。彼が4年生の時、彼をSFにコンバートしました。 半年ほどなんですが、彼とは一緒にディフェンスを作ってきました。彼はその急激なコン バートに応えてくれ、4年生らしいタックルを決めていました。つまり、彼は私のディフ ェンスをそれなりに体感しているわけなんです。
 パスもある…本当に迷いました。ギャンブル的なディフェンスを敷いてくることを予想 すれば、すれ違いざまにパスを投げるんじゃないか。ただ、私は(それでもTAMONに走 られてTDをやる方が後々面倒なことになる)と決めて、思い切ってランを止めに行こう としました。
 …パスでした。TD。
 「せっこいやっちゃなぁ、もう…」
 しかし不思議と点を取られたという意識やダメージはありませんでした。選手からも 「Pass投げるんかいな」という思いが伝わってきました。パスでいかれるんやったらしゃぁない、そやけどTAMONだけは止める…そんな思いに、4年生が付き合ってくれたかのような気がしました。いや、4年生が私をうまく使ったんでしょう。
 おかしな話ですが、点を取られたことで気を引き締められたと同時に、プレー面はもち ろん、戦術面も精神面も決して負けていないと確信しました。


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