KG FIGHTERS 第55回ライスボウル初優勝 2002年1月3日
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コーチのコラム(守備)
Fighters-Dの肖像堀口 直親
―風 〜不安と闘い試行錯誤を繰り返した日々―

思い入れを Game Plan に

 大晦日の夜。矢野が「最後までもたへんかもしれません」と真っ白な真顔で言ってきた。「どうやったらもつかな」と尋ねると「わかりません」。そんなこと、わかるわけがない。もつかもたないか、やってみないとわからないし、最後まで持たそうと手抜きするはずもなく、とにかくやってみないとわかりません。答えになっていないんですが、「1プレーに集中すること、毎プレー勝負を挑むこと」と矢野に答えました。そばを食べながら、特に気むずかしい話はせず、「とにかく思い切ってプレーできるように最後まで準備しよう」と。
 「もう9時回ってますよ」星田が嬉しそうに言うが・・・大晦日といえばInoki Bom-Ba-Ye。TV中継があることをすっかり忘れていました。実は前日に放送された『PRIDE18』も、あれこれ考えていて見忘れていたんです。
 今から思えば、三度の飯より好きな格闘技の放送も見忘れるほど集中していたのか、それともビビッていたのか、それはわかりません。もうどちらでもよかったんです(どうせ桜庭和志選手は出ないから)。防具をつけての練習もすべて終えた今、あとは気を溜め込むだけだと言い聞かせました。
 選手のプレーはもちろんですが、サインの上でも逃げられない相手。最後は「氣」で中村多聞選手を止める、それ以外に勝ち目はないと思いました。今の時代にあって精神論など古めかしく、「気合で止める」なんて死語かもしれません。しかしそれがベストだと思えたのは、「もう緊張しています」と星田が心境を正直に語った時でした。ずっと試合を、中村多聞選手の走りを想定し、緊張感を保ったまま練習していた・・・そんな星田の思いは、おそらく試合に出る下級生にも伝わっていたことでしょう。「練習は試合のように、試合は練習のように」・・・だったら下手な小細工はいらない、真っ向勝負をしてやろう、それがこいつらの思い入れに応える唯一の手段ではないか、と少しばかり私情を含ませたGame Planとなりました。

Game Planの大枠ですが、
1. 中村多聞選手をどう走らせるか(=追い込むのか)
2. どうやって止めるのか(誰がタックルするのか)
3. 対ブロッカー対策
4. パス対策


この4つの観点から様々なAlignmentやMovementを検討しました。
できあがったものといえば、Game Planと呼べるような偉そうなものではありません。Stop the TAMON by your best Tackle. それだけなんです。

不安との闘い・・・飲料と闘う前に、得体も知れない不安や焦燥と闘う日々が続いた。でも不思議と心労は残らなくなった。ここへきて、決して爽やかじゃないけど心地よい風がこちらに向かって吹いてきたような気がした。さも「乗ってみろ」と言わんばかりに。
「ほな乗らせてもらうわ」
その風は現役たちがもたらしてくれたもの。彼らが一陣の風を生み出した。それは思い次第でFollowにもAgainstにもなるもの。安易な私は、その風にあっさりとさらわれてしまった。


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