KG FIGHTERS 第55回ライスボウル初優勝 2002年1月3日
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コーチのコラム(守備)
Fighters-Dの肖像堀口 直親
―光 〜折れない心を持った戦士たち〜―

First Call

 Kick Off Return。オフェンスチームが入っていくのを確認するとベンチへ。いつもなら、 ここで何か言うんですが…この日は何を言ったのか覚えていません。何も言わなかったか もしれません。いつもと違うことをしないほうがいいとは思ったんですけど、特に言う必 要も感じず、ゲームプランどおり進めよう、成り行きを見詰めようと考えていました。
 ベンチの前で、座っている選手に背を向けながらも、時々目線を後ろへとずらします。 まだ何も始まっていないこの時に、選手たちは何を思っているんでしょうか。知りたいと 思う反面、そんなこと聞いたら余計に不安がるかもしれない…おそらく、誰も何も考えて いなかったんじゃないかと思います。真っ白。
 「サードダウン!」と誰かが叫びました。気合の入る瞬間です。首をコキコキと鳴らし、 肩をグルグルと回します。そこで歓声か悲痛な叫びか…第4ダウンになりパント。オフェ ンスの選手と入れ違いにパントチームが入っていきます。その波をかき分けるようにサイ ドラインへと向かいます。
 「あれ、えらい後ろやなぁ」…飲料の激しい守備に最初の攻撃は大きくロス。私は口を 真一文字にして何も発せず、ただボールが止まるのを待っていました。しかしボールは自 陣を脱することができませんでした。う〜ん、最初から厳しい状況、どないしたろかいな …ブツブツ言っている間に、最初のコールを星田が聞きにきました。最初のコール…

「何でもいいっすよ」
 試合前、控え室の動きが慌しくなってきた頃。ボーっとして周囲の動きを見て いると、背後から誰かが私を呼び止めた。振り向こうとすると、そっと腕を肩に 回してきた。
 「今日、最初は何ですか?」
 平郡だった。なんか気になることでもあるんかなぁ…今日は試合前はなんにも 言わないでおこうと決めていたのだが。
 「何がええ?」
 愚問…?サインを出すコーチが選手に希望を尋ねるとは。
 「何でもいいっすよ」
 とニッコリ…いや、少し緊張気味だったか。
 実はそれまで・・・・ゲーム直前というこの時まで、2つのうちどちらから入るべ きか迷っていた。一つは無難なもの、もう一つは少しアグレッシブなもので、平郡がキーマンになる可能性が高いもの。顔をじっくり見ると、どこか晴れ晴れと していた。強がっていたのかもしれないが、実に引き締まった顔だった。
 アグレッシブなコールで最初から勝負しようと思っていたが、最後の最後まで 何かが引っかかっていた。その引っかかりを、平郡が解消してくれた。  First Callは後者となった。


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