KG FIGHTERS 第55回ライスボウル初優勝 2002年1月3日
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コーチのコラム(守備)
Fighters-Dの肖像堀口 直親
―光 〜折れない心を持った戦士たち〜―

Last Fight

 11:37ファンブルを押さえられました。まぁ見事なファンブルでしたね。
  06:33 30対20になった後…少し嫌な予感がしました。中村多聞選手のSweepでTD を与えたわけですが、このシリーズはTAMONが本来の力を完璧に発揮したシリーズだっ たことと、Touch Down Runを決められたことで、飲料が自力の差を見せ始めた、いや「本 来の飲料」に戻してしまったか、と思えたからです。
  その予感は的中しました。
  02:02相手Goal前のBlast…誰もがTBに向かってしまいました。しかしボールはQB 桂君の手にあり、キーププレーで一気にゲインされてしまいました。それをバックサイド から止めにきた力哉が倒れたんです。重い身体をILBとして縦横無尽に走らせたことで、 脚にかなりの負担がかかってしまったようです。大黒柱を失った…
  01:54力哉の代わりに山田(きやす)が入りました。今までどおりやろうと思ったんで すが、1-back Shot Gunという隊形を見て、すかさず山田(きやす)に「外へ出ろ!」と 叫びました。ちょうどいい具合にホイッスル、でプレー再開。しかし山田(きやす)は従 来どおりの位置。あちゃちゃ…正確に伝えられませんでした。パス成功。
  01:43またパス成功。しかしインバウンズ…
  あかん、えらいみな消極的やないか…なに守勢に入ってんねん…
  時間をすべて使わせて最後に取られるのなら、どう考えても逆転はできなくなります。 しかしこのペースだと一気にEnd Zoneまでいってしまう。守勢の今、そうなってしまえ ば時間を食うことなく4本目のTDを奪われる。もちろん2 pointでくるだろうが、既に みんな限界に達しようとしているこの時、時間を残され、もしオンサイドキックを決めら れれば、最悪の事態にもなりかねない。とにかく消極的になるんじゃなく勇猛果敢に攻め る気持ちを持たせてやろうとしました。このままでは、あの時と一緒になる…

「あの時みたいにしてたまるか」

 無難に止めようというコールを送れば、選手は自ずと無難に守ろうとする。そ れはオフェンスに対して何らプレッシャーもなく、意図どおりプレーを進めるこ とも可能となる。
 パスラッシュが効き辛いと判断した。だからDBだけじゃなくLBも下げた。そ してパスを決められ、QBに走られた。切羽詰った時、ベンチもハドルも慌ててし まった。意図が正確に伝わらず、余裕をもって投じられたボールはEnd Zone内 で相手レシーバーの手に納まった。試合終了間際の逆転。
 1994年1月3日、東京ドーム、Rice Bowl。
 ヘッドセットの向こうに、今はコーチとしてDBを見ている大寺がいる。
 懸命 にDBに指示を送っている。思わず、心の中で呟いた。
  「あの時みたいにしてたまるか」

 ミスタックルが続き一気にゴール前へ。そしてTD…ベンチは既に相手のオンサイドキ ックに対するため、スペシャルチームが集められていました。私は時計を見ました。確か、 あと37秒。もう30秒、どうにか使わせたかったんですが…しかしこれでも上出来かも しれません。守備としては危ない展開だったのですが、その前のシリーズとその後のオフ ェンスで9分35秒も使っているんです。今から思えば、その攻守各1シリーズで時間を 費やしたことが、最大の勝因かもしれません。刻まれるのはいい、一発だけはやるな…

 …もう誰も動けていなかった。力哉もフィールドに戻っていったけど、星田も 外からラッシュしたりバンプしにいったりしていたけど、矢野も懸命にボールに 反応していたけど、誰も本来の動きができていなかった。
  地力の差、かもしれない。社会人よりも先に動けなくなるのは情けないことか もしれないが、長い長いシーズンの最後、ほとんど休みもなく闘い続けた戦士た ちに、限界が訪れようとしていた。
  それでも、「ここで負けてたまるか」「TDやってたまるか」の思いが身体を最後 まで動かし続けた。もはや気力のみで動いている。その思いが時間を使わせた。
  踏ん張れ、ここで負けてどないする、なんのためにここまで闘うてきたんや、 疲れたら何もかも忘れるんか、バテたら終わりか、そんな小さい夢やったんかい、 どないして止めよて言うてきた、動かさんかい、自分で自分を動かさんかい…負 けてたまるか!

 5分以上使わせたシリーズでは、主将・力哉がとにかく超一流を遥かに超えるプレーを 連発、星田の巧さも光り、財満も守勢に回らず、平郡も文句のつけようのないILBになっ ていました。「練習に入るだけで緊張するんです」と怪我から復帰したてで少しばかり弱気 だった池谷ですが、ゴール前でパスを取られた瞬間にタックルするなど、「時間との闘い」 に真っ向勝負を挑んでいました。
 最後にはどこか力尽きた感じも否めません。すべてを出し尽くした…あっさりと4つ目 のTDを取られましたが、その前に誰もが半歩踏み込んで必死のディフェンスを続けた代 償です。

 完全燃焼…そして新しい伝統の始まり

To be continued ……


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