「ええかっこさらすな」
不安があれば吐き出せと言い続けた。しかし、真っ正直に不安だと言うことがまるで恥でもあるかのように受け止める。だったら完璧か、と尋ねれば、実は不安だらけだという。ならどうして不安を出さないのか、と問い詰めれば、ただ黙って頭を下げる。
「ええかっこさらすな。」
と何回言ってきただろうか。
2001年のシーズンは不安先行、ネガティブな気持ちとの葛藤の連続。これは即ち私自身が不安だから、なのだろう。私の不安は現役の不安、現役の不安はこちらに不安として返ってくる。
何も言ってこなければ完璧に準備できたんだと考え、こちらから何も言わないでいると、「何をしたらいいのかわからないんです」と嘆く。
表情を見て曇り切っている時に、いい加減に吐き出せと言えば、「何が不安なのかさえわからないんです」と唇を噛み締める。
関西学生リーグ、甲子園ボウルと通じて、とにかく選手と共に不安と闘う日々が続いた。合宿所を出るのが午前様という日が何日もあった。甲子園ボウル前など2日続けて一睡もできなかったことさえあった。 「なんでここまで悩むんか」と苛立ち、怒りさえ覚えた。
それはRice Bowl前も同じだった。